Y×K(ワイバイケー♪)が様々な分野で活躍している友人達をゲストに迎えて、対 談していくコーナーです(不定期更新)

第2回:ゲスト・・・清元栄吉(清元三味線演奏家・作曲家)

Y×K(ワイバイケー♪)special talk第2回のゲストは清元三味線演奏家・作曲家の清元栄吉さん。奥田祐が大学生の頃より公私共に親しくさせて頂いている作曲家の先輩であり、実は坂本圭子もレコーディングのお仕事をご一緒させて頂いたことがあるY×K(ワイバイケー♪)とは関係の深い方なんです。

最近では、NHK大河ドラマの邦楽指導などでもお名前を拝見する機会が多い氏ですが、有難いことにY×K(ワイバイケー♪)のLIVEには度々いらして下さっています。

――― このCDは僕にとってのベスト盤!


清元栄吉(きよもとえいきち)
1963年生まれ。
東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業後、清元栄三郎師に入門。
清元栄吉の名を許され、以後清元節三味線方として歌舞伎、舞踊公演等に出演。また古典邦楽にとどまらない幅広い分野で創作活動も行い、作品は多数。
現在放映中のNHK大河ドラマ「功名が辻」では邦楽指導・作曲を担当している。

奥田祐(以下・祐):いつもLIVEにお越しくださって、有難うございます。前にいらして頂いた時に演奏した「sorrow」を栄吉さんがとても気に入ってくれてね、それでCDに入れようと決心したようなところもあって・・・。

清元栄吉(以下・栄):これですね。(・・・と言いつつおもむろにCDを取り出す)

坂本圭子(以下・圭):持ってきてる(笑)

:聴いてますよー。そうだよ、あの下北でやったLIVEの時に僕が「sorrow」絶賛したの。

:それに気を良くしてCDに入れた訳ですよ(笑)

:だから、このCDは僕にとってベスト盤なの!

祐&圭:(笑)

:本当に。だって「うららかな時」も国立の食堂(国立劇場の楽屋食堂のこと)で、ちょっとだけ聴かせてもらって「わぁ、俺これ好きっ」って言ったんだもん。

:じゃあ、栄吉さん的にベストセレクトな感じなんですね。

:あ、でも最初「sorrow」は良いけど短い!って怒られたのよ。

:違うんだよ。だってさ、あのね結局ね、*ゴソゴソ*(歌詞カードを出して)♪あなたに〜♪…ここから、♪逢いたい〜♪ってなるでしょ?ここはもうね、俺はグググって来るわけ。だから、この体験をやっぱりもう2回3回聴きたいわけ。でも、奥田ちゃん繰り返すの好きじゃないもんねえー。

:アハハ…。でも、それに関しては珍しく「あーなるほどそうかも。」って思ったわけです。

:俺的にはやっぱり、最初っから完全に繰り返して2番にして欲しかったなー。それでギターソロ挟んでリフレイン・・・

:長いよっ!

:長くないよぉ〜!

:「sorrow」は短いと(笑)

:「どうしてあんなおいしいものをもういっぺん聴かせてくれないの?」って気持ちにされてしまうワケ。

:でもその気持ちはなんとなく判って、自分で聴いた時に「もったいないな」って感じがしたから、繰り返すように変えたんです。

:しかも、この奥田祐が「逢いたいんだ」なんてねぇ。

:ねっ!聞かないですよね(笑)

:そこはいいじゃないですかっ!!

:やっぱりね、そこに感動するんだよー。

:あの奥田祐がね〜って(笑)

:それとね、今改めてCD聴きながら来たんだけどさ、映像とか映画の人が使おうって思うのはすごいわかるよね。

:そうですかね?

:めちゃくちゃ目に浮かぶ感じ。

:情景が?

:うん。さっき駅に着いたときに、ちょうどこの辺(「逢いたいんだ」の歌詞を指差して)を聴いててね。聴きながら景色を見てると映像がすごく目に入ってくるんだよね。

:しかも今日は、しっとり雨だし。

:そうそう。で、最近見た映画でこれに合うの何かなーって考えてたら…「ロストイントランスレーション」のどっかにいいじゃん!って。

:じゃあ是非!!

:っていうか、もう公開も終わってるからっ!

:じゃ、ダメか…。

3人:(笑)

:それとね、これ昨晩思いついたんだけどさ!「Y×K(ワイバイケー♪)柿ピー説!」

:なんですかそれ?

:柿の種ってさ、柿の種ばっかり食べてるとピーナツが食べたくなって、ピーナツばかり食べてるとやっぱり柿の種が食べたいな、ってなるじゃん。二人の歌を聴いてると、そういう感じだよね。

圭&祐:(笑)

:どっちも美味しいんだけど…こっちの歌聴いててそっち聴くと、「あれ?やっぱりそっちがいいかな?」でまたこっち聴くと「あれ?こっちかな?ん?ん?」〜ってさ(笑)そうやってライヴの1時間なり2時間が過ぎるんですよー。

:そーか、なるほど。じゃあツインボーカルの意味があったねえ!・・・ん?でも、どっちがピーナッツなんだろ?(笑)

:(笑)

――― 自分を窓口にして新たな世界を見てくれる人もいるはず

:そもそも栄吉さんと私との出会いは・・・。

:奥田ちゃんとの出会いはよく覚えてますよー。内幸町ホールですね。

:仕事ですか?

:うーん、確か両方ともお客さんだったかな。

:なんかオレンジ色の服を着てました。

:そんなことまで!(笑)私がまだ大学生で、自分の曲(奥田の学生時代の作品、三味線五重奏曲のこと)を演奏してくれる人を探してる時に出会ったんですよね。

:あれは楽しかった。

:私は作曲家だとは知らず、弾いてくれる人だと思ってました(笑) 作曲科を卒業してると知った後も、てっきり三味線の家に生まれた人で、でもちょっと変わり者で邦楽科(東京芸大の邦楽科のこと)に行かずに作曲科に行って、で最終的に三味線弾きになった人なんだと勝手に思ってて。だけど本当はそうじゃなくて、どちらかと言うと私寄りな人でした。

:私寄りって言うのは?

:ただ音楽が好きで、作曲家になろうと思って作曲科に進学した人ってこと。

:クラシックを聴き出したのは高校くらいの頃からだから…。最初はバンドやりたかったのよ。

:意外!!ずーっと邦楽の人かと思ってました。

:全然。初めて三味線に触ったのは大学2年の時だよ。

:私と、守備範囲的にはかなり近いです(笑) 作曲家のなかでも例えばクラシックだけ、とかポップスだけ、とか限られた分野の話しか出来ない人も結構多いんですよね。そういった意味で栄吉さんはロック・ポップスの話も出来るし、クラシックの話も、もちろん邦楽の話も出来るという私にとってはかなり貴重な存在です。

:ふーん、なるほどねえ。

:でも、ご自分ではその多様性ってどう思われますか?例えば私なんかも、クラシック的な作曲のテクニックとか、それこそ邦楽の仕事もさせてもらってるからそういった楽器の扱いとか、ある程度いろんな引き出しを持てていて確かにそれが個性であるとも思うんですが、だからこその弱さもあるというか…。

:うん、確かにね。大河(NHK)の仕事にしても何にしても、自分が聴いて育ってきたものが純然たる邦楽ではないから、浮かんでくる曲想とかメロディーとかも、あんまり邦楽的じゃなかったりするわけですよ。でもそれを邦楽器の表現としてみたらギリギリの、ちょっときわどい所で“らしく”聴かせる、みたいな。そういうのってある種のズルさだって思ったりもするよね。

:でもそれがメリットでもあり…。

:まあ今さらそう思っちゃったほうがいいじゃない。だから、そういうある意味どっち付かずな僕のやってる何かをたまたま聴いてくれた人が、それをきっかけ、というか窓口にして「ああ、こんな世界もあるんだー」って邦楽方面に興味持ってくれるってこともあるかな、なんて思ったり。

:そうですよね。だって聴いてもらう相手は「洋服着てイスに座って洋楽聴いて育っている日本人」なんだから、そういった必要性も出てくるはずですもんね。

:うん。仕事っていうものが社会への還元だとするならば、こういった多様性っていうか中途半端さを持った自分だからこそ出来る何かを社会から求められているんだ、と考えればこれで良いのかなっていうふうには思いますよね。

:なるほど。ちなみにお話に出ました、大河のお仕事。今放送中の「功名が辻」もなさってますよね。

:邦楽指導ってやつです、指導はほとんどしてないけど(笑)今は、たまに仲間由紀恵さんが田植え唄みたいなのを唄うのね…それは元唄があってそれをアレンジしてるんだけど。あとは信長の奥さんのお濃さんが吹く笛のメロディーを作ったりとか。

:3年前の「武蔵」の時にも曲を書いてたんですよね。そうそう、確か出演したんですよね。踊り狂いながら三味線を弾く人でしたっけ?(笑)

:うん。戦国時代の街道のシーンで、チンドン屋みたいなのが三味線とか鳴り物持って暴れてたら侍同士のケンカに巻き込まれちゃうって言う場面。その頭みたいな役…。

祐&圭(爆笑)

:そしたら小道具の三味線が本番中に本当にバラバラになっちゃってさ〜!画面の片隅にチラっと映ってた。

:役で出たなら、衣装着けてメイクとかもして「ワー!」って?えー見たい!!!

:そう、小淵沢まで行ったんだよ。

:え?!ロケ!!!(笑)

:まじで〜!!(笑)

――― これが自分だ!っていう自然な表現、結局それが自分の音楽

:邦楽の唄って随分高い音まで地声でいくじゃないですか?あれってどういうふうに出してるのかなって前から興味があるんです、私。結構いろんな唄うたいの方に聞いたりしてるんですけど、皆さん「なんとなく」っておっしゃるんで結局判んないんですよね。

:でも、どうやらミックスボイスらしいんだけど…。

:そうみたいよ。もちろん邦楽の場合システマティックなセオリーはないから、こうだ、って言い切れないってのはあるんだけれどもね。とりあえず、あからさまな裏を使うのは清元では嫌うんですよ。だけど、いわゆる表とは違うんだって。裏でぶつけたところに息を入れてって表のようになっちゃう、みたいな感じかな…。

:うーん、クラシックでも息のスピードをあげていくとそれっぽくなるっていうのはよく使うんですけどね。それなのかな?

:多分、喉の共鳴してる場所がちょっと違うんだよね。

:ああ、なるほどー。頭声ではないですもんね。前にね、女の唄うたいの方にも聞いてみたんですよ。そしたら「気合いよ気合い!」って言われて「そーですか・・」としか返せなかった(笑)

:でも、低い音域とか元の声からして違うじゃない?

:なんか生っぽいんでしょ?

:そうそう。伝わりやすい感じ、感情が。楽器になってないのがいい。

:クラシックを勉強した人間にとっては、そのしゃべりの延長線上で歌ってる感じというか、それがとても素敵に聴こえて。いいなあって。

:ああ、なるほどねえ。

:栄吉さんは、清元って大学の時に聴いていいなと思ったんですか?

:うーんとね…。最初に聴いたのは…学校の後輩が清元の副科のクラスを取ってて、たまたまレッスンの録音を聴かせてくれたのが僕の師匠となる人の弾き語りだったの。で、「おもしろいじゃん、これ」って(笑)結局「浄瑠璃」ってものが面白かったのかな、歌ではなくて語ってる感じだった。それが最初かな。それで自分も習ってみようと。

:それは、ガムランやる前?

:ううん、やってる時。

:は??ガムラン?栄吉さん、ガムランやってたんですか?!

:そうだよ。ジャワガムランは一番ハマってたなー。

:えー。知らなかった…。

:たまたまジャワ人の先生が芸大に教えにいらしててね、その人の芸に惹かれたのよ。その先生が太鼓叩くと“風”が吹くの! で、一年半くらいほとんど住み込みみたいな状態で…

:そんなに本格的に?!

;うん。…結局大学行ってさ、やっぱりそれぞれ自分の道を探すわけじゃない?でも俺は現代音楽とか12音(12音音楽のこと。無調音楽の技法のひとつ)とか面白くなかったし判んなかったし。それで、なんだか民族音楽系に興味がいったんだよね。その流れでね、邦楽も。

:そうだったんですかー。

:でも、そこから清元に興味が移ったのは何でなんでしょうねえ?

:そうねー・・・とにかくあの頃はガムラン以外にも大学でさわれるものはほとんど何でもやってたし…雅楽、インド音楽、韓国の音楽…。楽器にさわれるだけでも面白いからさ。

:いいなあ、ちゃんと元取ってる(笑)私は手を出すのが怖いタイプなの。新しい楽器って面白いの判ってるから、手出しちゃったら下手すると10年20年やるのが判ってるでしょ。で、あれもやってこれもやってってしてるうちに、結局何者にもなれない気がして怖くて手が出せない…。

:それ正解!プロとしては正解だよ(笑)だってさ、何やったって行き着くところはそんなに変わらないもの、自分の内なるものと向き合うだけの話で。要は同じじゃない?   ・・・なのに、なんで邦楽だったのかね・・・。わりかた物事考えちゃう方だったしそんなに強くないから、ただ好きだからやってますってなかなか出来なかったし・・・西洋音楽やってると、一度は「なんで日本人なのに?」って思うじゃない?

:あー必ず思いますよね。

:海外で演奏家同士で話するとさ、「あなたは日本人なのにどうして〜」って言う会話必ず出るじゃない?そういう事に意識が薄いのって、実は世界で日本人くらいでしょ。最初はそういう意味からもアジアの音楽方面に興味が向いたっていうのあるんだけど…。

:ああ、なるほど。

:でもね、始めてジャワに行った時ね、自分はぜんぜん西洋人だと思ったの。ジャワの人達って、良い意味でも悪い意味でも人と人とのつながりがすごく密なんだよね。で、もちろん音楽もその影響をたくさん受けて出来ている。そうか、この音楽をやっていくって事はこういう中で生きていくってことなんだなーって思って。「俺ダメじゃん…。」って(笑) そんなこんなでちょっと悩んでる時期に、学校でたまたま出逢った、清元の先生の三味線の音がね、上手いとかっていうんじゃなくてとにかく「これがオレだ。文句あるか!」って感じだったの。緻密なものとか芸術的とかっていうんじゃなく…。それが、その頃の自分にとってはすごいインパクトだった。

:なんだかとても判る…。譜面が無いとピアノが弾けないとかさ、覚えてる曲しか弾けないとかさ。クラシックやってるとそういう自然じゃない気がする時があって、それと同じような違和感じゃないですかね?生活に密着していない状態で「芸術だ!」って言ってやっているのが不自然で。

:うんうん。

:じゃあ今、みんなで楽しくお酒飲んでて「1曲弾けよ!」って言われて弾けないのって音楽家か?って思う時があるんだよね。

:そうだよね、あるあるー。そういう時ってすごく直面するもん・・硬直するの、「うわ、なんだろ!」って思っちゃう。

:そうなの。なんで音楽家やってるのにこんな事くらいできないの?って。

:自己表現としての境目をすごく感じちゃうんだよね。やるなら美しくとか、評価されなきゃいけない、とか、気がつくと別のことになっちゃっててさ。すごく不自由だし、おかしいよね。   ・・・まあ結局その「文句あるか!」に惹かれたっていうか・・・それと、その時分、自分には何にも根っこがないっていつも感じてたから、ずーっと自分の一生を通して勉強し続けられる基盤というか足場のようなものがほしいって・・・随分自由になれるだろうし自信になるかなって思ったのね、多分。

:なるほどー。

:私、さっきのね「音楽家として生活に密着してない〜」って話、実はライヴをやるようになって、少しだけ自由になれた気がするんですよね。

:あー、そう!!

:ライヴって、クラシックの演奏会やるのとはまた全然違った感じがするんです。より、お客さんの反応がダイレクトに感じられるっていうか。整えられた美しい芸術作品を提示するっていうよりももっと粗っぽくて、結局お客さんが喜んでくれるなら何でも嬉しい!みたいな…。なんか、ある時ふと「そうだよね、もともと表現ってこれくらい自由なもののはずだよね」とか思っちゃったりして。そしたら、それからライヴ以外の作曲も前より楽になった。

:ふーん、すごいな…そういうふうでこそ自分の音楽だって思えるよね。

――― 音楽は、最高に「生きている」と感じさせてくれるもの

:最後の質問になりますが、栄吉さんにとって音楽とはなんですか?

:・・・そうねえ。三味線弾いてて、ふと自分ってものが消えてたって時がある。作曲してても、自分がただの通り道のような、自分で何かを考えてるとかやってるとかそういうのを越えちゃったような体験をする時がある。そういう時、最高に「生きてる」って気がするんだけど、その体験を得られるのって自分の場合、音楽なんだよね。・・・だから結局、「もの凄く大切なもの」なのかもね。

:うーん、なんか深いですね。

:曲を書いてる感じってねえ、なんか他にはない感覚なんだよね。もちろん他の人は他の事で味わうのかもしれないけど…、なんか地上から1cm足が浮いてます、みたいな(笑)この例え、判んないね…(笑)

:判んない(笑)

:え!っていう事はたまにあるよね。自分って存在を超えたレベルでメロディ出てきちゃったり。「なんかこれ出てきちゃったけど、ん?これは何?」みたいな(笑)連れて行かれるような感じって言うか。

:それは、「降って来る」みたいなこと?

:あ、でも良く一般に言われるように「空からメロディが降って来る」みたいな、あんな感じじゃないよ。ね、あーじゃないよね?

:うん、違う!!

:そうじゃなくて、考えて考えて考えて〜!もう究極まで行った時に「降って来ることもあります…」みたいな(笑)

:そうそう。それ全く一緒!

:ね!そんな常日頃「あら…」って降って来るんだったら、苦労しない(笑)

:まったくだ(笑)

:でも私も、確かに曲を書いている時間のなかで、その瞬間楽しくて楽しくてほかに何もいらない。と思う時があります。

:それがあるから、やってられるのかなって思うよ。

:うん、そうですね…。なんか最後は「作曲家同士、助け合う会」みたいになってしまいましたが(笑)

圭&祐:今日はどうもありがとうございました。

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